教育の基本方針

日本文学科 教育の基本方針

 尾道は豊かな自然を背景に、永い歴史によって醸成された街そのものが芸術文化の独特の雰囲気に包まれている、 時代を超えて多くの文人墨客が訪れた文学の地です。日本文学科はこの尾道の伝統を土壌に、次のような人材の育成を図ろうとしています。

  • 日本文学と日本語学の専門的な知識を活用して、さらにそれを発展させる研究方法を身につけた人材
  • 学習研究創作を通して鋭い感性、豊かな情操、自由な創造力を身につけた人材
  • 芸術文化に深い理解を示し、新しい文化を創造していく人材


 その方針にもとづき以下のような教育上の特色を持たせています。

  • 1学年定員50名の少人数によるきめ細かい教育を実施する
  • 学修?研究に対する目標意識を育てるため、1年次から専門教育を科目配置する
  • 自主的な研究態度を養うため、演習?双方向的授業を重視する
  • 芸術文化論、比較芸術論、欧米文学、中国文学等、幅広い科目の履修も可能にしている
  • 「文芸創作」を卒業論文に代えることも可能とする

 

取得できる資格

本学を卒業するために必要な単位に加えて、それぞれ所定の単位を修得することで次の資格を取得することができます。

  • 中学校教諭1種免許状(国語)
  • 高等学校教諭1種免許状(国語)
  • 学芸員

 

文芸創作指導の理念について

大学で文芸創作を学ぶ意味

  1. 「受信的教育?研究」に対しての「発信的教育?研究」
     あるものをどう分析?解釈するかという受信的教育?研究が主であった従来の大学のあり方に対して、文芸創作とは、何もないところから何かを創り出す、時間や空間を超えた世界を創り出すという主体的?発信的な教育?研究である。
  2. ?知の教育?に対する?情の教育?
     同じく、体系性?論理性を重んじる?知の教育?が主であった従来の大学教育に対して、文芸創作とは、豊かな感性を育成する?情の教育?である。

 大学で文芸創作を教えることは、受信的教育と発信的教育、知の教育と情の教育、それぞれを車の両輪のように備えた教育を目指すことであり、大学教育にとって一つの果敢な挑戦であるということができる。
 また文芸創作の側から述べれば、創作とは教育の場のみでなされるものでは無論なく、教育の場以外で学ぶべき部分も非常に多い領域であることは間違いない。しかしそれと同時に、大学で養われるべき、深い知性に裏打ちされた分析?判断能力が、自己の創作能力に有効に働きかけることは大いに期待できる。したがって文芸創作の分野からも、大学における教育は重要な挑戦であるということができよう。

 

日本文学科で文芸創作を学ぶ意味

 日本文学科とは、日本語による表現というものをどこよりも的確に学ぶことができる場である。日本文学科における文学研究?語学研究で培った力を創作作品にも当てはめながら執筆、優れた作品を生み出すことを目指す。たとえば既存の文学作品を研究することにより、筋立て?構成?表現技法などを学び、それを自らの創作に生かす。また、語学を研究することにより、正確な、あるいはより豊かな日本語表現力を身につけ、それを創作に生かす。
 文学作品とは技術のみでは書けないが、自らが表現したい内容を他者に伝えたいと願うならば、「的確に他者に伝えるための表現」というものを軽んじてはならないことは言うまでもない。

 

尾道市立大学芸術文化学部日本文学科で文芸創作を学ぶ意味

 尾道は古くから文学?芸術の伝統が息づく場であり、創作において非常に重要な、?場?の力というものを強く残している。
 また本学科の所属する芸術文化学部には、日本文学科と合わせ、美術学科という発信的研究を主体とした学科も併設されているため、受信能力と発信能力、知性と感性、双方を備えた人材の育成にうってつけの場であり、その教育の一環として、日本文学科にも中心的な研究科目として文芸創作科目を設けたことは必然といっていい。

 

どういう作品を求めるか、目指すか

 以上のことから、文芸創作指導において、既存の文学観に限定した指導を行う必要はなく、純文学?エンターテインメント?児童文学等、どのようなジャンルであれ学生の自主性を尊重した創作の試みがあっていいと考えるが、また一方で、一過性の流行に振りまわされた作品、その場で面白さを味わうことができればいいとする作品を書くことは厳に慎ませるべきものと考える。
 深い知性と感性に支えられた作品、書き手にとっては自らの人生観や世界観、思想などの人間的な資質の表出となるような、読み手に対してはその魂を揺り動かし、深い感動を与えるような、そういった作品を生み出すことこそを目標にしたいと考えるものである。